INTRODUCTION |
Naomi: こんにちは、ナオミです。 |
Chris: Chris here. “Set Tongues Wagging with these Japanese Expressions” |
Naomi: このレッスンには、クリスさんが来てくれました。 |
Chris: どうもよろしくお願いします。 |
Naomi: よろしくお願いしまーす。このレッスンでは「舌」を使った表現を紹介しようと思います。 |
Chris: 今回のダイアログは誰と誰の会話ですか? |
Naomi: 2人のジャーナリストの会話です。加賀さんと深田さんですね。たぶん同じ会社の同僚だと思います。で、今2人は記者会見の場所にいます。今回の会話には、「政治」の話をするときによく使う単語が出てきます。 |
Chris: In this lesson, you'll learn idiomatic expressions that use the word 舌, meaning "tongue". |
This lesson's conversation takes place before a press conference. It's a conversation between two journalists, Mr.Kaga and Mr.Fukada. In the dialogue, you'll come across vocabulary used when talking about politics. |
Naomi: では、聞いてみましょう。 |
DIALOGUE |
加賀: お疲れ。 |
深田: 大変でしたね。急に呼び出されて。 |
加賀: 本当だよ。結婚10周年だからレストラン予約して、舌鼓(したづつみ)を打ってたのに、いきなり会社から呼び出しだよ。 |
深田: 奥さん、大丈夫でした? |
加賀: 舌打ちされたよ。で、何?総理辞任? |
深田: こんな時間に緊急記者会見をするんだから、たぶんそうだと思いますよ。 |
加賀: 前回の選挙で「税金は上げない」って言ってたのに、その舌の根の乾かぬうちに「消費税を10パーセントにする」なんて言うから、支持率が下がったんだ。 |
深田: それから、あの人、本当に話すの下手(へた)ですよね〜。 |
舌足らずな話し方だし、失言も多いし。 |
「浮気は文化だ」でしたっけ? |
加賀: そうそう。「北海道の人は怠け者で、メロンも育てられない」とも言ったよな〜。 |
あれは、まずかったなあ。 |
深田: 言うこともコロコロ変えるから、「二枚舌」なんて外国メディアに悪口書かれちゃいましたしね。 |
加賀: ま、舌先三寸(したさきさんずん)なのは日本の首相だけじゃないけどな。 |
深田: 確かに。 |
加賀: あ、来た! |
Naomi: 今度は、英語の訳と一緒に聞いてみましょう。 |
加賀: お疲れ。 |
Chris: Hey, how's it going? |
深田: 大変でしたね。急に呼び出されて。 |
Chris: That was tough, suddenly getting called out like this. |
加賀: 本当だよ。結婚10周年だからレストラン予約して、舌鼓(したづつみ)を打ってたのに、いきなり会社から呼び出しだよ。 |
Chris: Right? It's our tenth wedding anniversary, so I'd made a restaurant reservation, and I'm just getting into my food when I suddenly get a call from work. |
深田: 奥さん、大丈夫でした? |
Chris: Was your wife OK with it? |
加賀: 舌打ちされたよ。で、何?総理辞任? |
Chris: She clicked her tongue at me. So what's happening? The prime minister's resignation? |
深田: こんな時間に緊急記者会見をするんだから、たぶんそうだと思いますよ。 |
Chris: For them to call a sudden press conference at this hour, I think that's probably what it is. |
加賀: 前回の選挙で「税金は上げない」って言ってたのに、その舌の根の乾かぬうちに「消費税を10パーセントにする」なんて言うから、支持率が下がったんだ。 |
Chris: During the previous election, even though he said he wouldn't raise taxes, in the same breath he said he was going to put consumption tax up to 10% or whatever, so his approval rating dropped, you know. |
深田: それから、あの人、本当に話すの下手(へた)ですよね〜。舌足らずな話し方だし、失言も多いし。 |
Chris: On top of that, that guy is a really poor speaker. He talks with a lisp, and he's always saying inappropriate things. |
深田: 「浮気は文化だ」でしたっけ? |
Chris: What was it—"Extramarital affairs are Japanese culture?" |
加賀: そうそう。「北海道の人は怠け者で、メロンも育てられない」とも言ったよな。あれは、まずかったなあ。 |
Chris: Yeah, that was it. He also said "People from Hokkaido are lazy, and can't even grow melons properly", didn't he? That was really bad. |
深田: 言うこともころころ変えるから、「二枚舌」なんて外国メディアに悪口書かれちゃいましたしね。 |
Chris: The things he says change from moment to moment, so he got called "two-faced" by the foreign media, didn't he. |
加賀: ま、舌先三寸(したさきさんずん)なのは日本の首相だけじゃないけどな。 |
Chris: Well, it's not only the Japanese prime minister who's oily, you know. |
深田: 確かに。 |
Chris: I daresay. |
加賀: あ、来た! |
Chris: Ah, he's arrived! |
POST CONVERSATION BANTER |
Naomi: クリスさん、このクイズ知ってます? |
Chris: どんなクイズですか? |
Naomi: 謝ってばかりいる政治家は、誰でしょう? |
Chris: 謝ってばかりの政治家……いや、分からないですね(笑) |
Naomi: 謝るときって、英語だと何て言います? |
Chris: To apologize. |
Naomi: うーん、あの「ごめんなさい」って、英語だと何て言いますかね? |
Chris: I'm sorry. |
Naomi: そう!ソーリー大臣、ソーリー大臣……(笑) |
Chris: ああ〜……ソーリー、Sorry、Sorry大臣……分かりました(笑) |
Naomi: (笑)すみませんでした。 |
Chris: ダジャレですね(笑) |
Naomi: はい(笑) |
Chris: ところで、ダイアログの中に「首相」という言葉と「総理」という言葉が出てきましたが、これは両方とも”prime minister”でいいんですか? |
Naomi: そうですね。日本だと同じ意味になりますね。 |
Chris: 違いはありますか? |
Naomi: ないと思いますねえ。「内閣総理大臣」というのが正式な名前なんですね。それを短くして、「総理大臣」とか「総理」とか呼ばれるんですね。 |
で、まあちょっと辞書を引いたら、「首相」というのは内閣総理大臣の別称 ”nickname"だなんて書いてあったんで、まあ、「総理」も「首相」も意味的には同じですし、使い分けもされていないと思いますね。 |
Chris: うん、なるほど。でも、このダイアログの総理は、ずいぶん悪口言われていましたね~。 |
Naomi: すごい悪口言われてましたね~(笑)。うん。「マスコミって、政治家の悪口を書いたりするのが仕事なのかな?」とちょっと思っちゃうくらい、日本のメディアは、政治家の悪口、文句がとても多いと思います。 |
まあ、確かにね、政治や政治家にも問題もあるんですけど、「ちょっと文句多すぎるんじゃないの?」なんて思うことはよくありますね。 |
まあ、これはね、私の個人的な意見ですけど。クリスさんの国、アメリカだとこれはどうですかね? |
Chris: いや、アメリカもかなり悪口言ってると思いますね。 |
Naomi: ああ、そうなんですか。 |
Chris: しかもですね、テレビのチャンネルがたくさんあるじゃないですか。何百チャンネルとか。 |
Naomi: はいはい。 |
Chris: もう結構ありますので、ずっと24時間ニュースを流してるので、やぱり一生懸命、こうなんか意見とか文句とか言わないと、こう時間がもたないので、かなり悪口言ってると思いますね。 |
Naomi: あ、なるほど。ま、同じなんですね。じゃあね〜。 |
Chris: そうですね、つまり。 |
Naomi: ただ、冷静に考えてみれば、新聞やマスコミが、政治家の悪口を言うことができるっていうのは、ある意味とても恵まれていることだと思いますよね。 |
Chris: そうですね。Right, well, I guess we should be fortunate that we live in a country where people can actually speak ill of the government without being arrested or killed, right? |
Naomi: おお、そう、そりゃあそうですね。うーん……ということで、単語を確認していきましょう。 |
VOCAB LIST |
Chris: 最初の単語は? |
Naomi: 失言 [natural native speed] |
Chris: using improper words, verbal slip |
Naomi: 失言 [slowly - broken down by syllable]、失言 [natural native speed] |
Chris: Next |
Naomi: 税金 [natural native speed] |
Chris: tax |
Naomi: 税金 [slowly - broken down by syllable]、税金 [natural native speed] |
Chris: Next |
Naomi: 支持率 [natural native speed] |
Chris: approval rating |
Naomi: 支持率 [slowly - broken down by syllable]、支持率 [natural native speed] |
Chris: Next |
Naomi: 選挙 [natural native speed] |
Chris: election |
Naomi: 選挙 [slowly - broken down by syllable]、選挙 [natural native speed] |
Chris: Next |
Naomi: 怠け者 [natural native speed] |
Chris: lazy person |
Naomi: 怠け者 [slowly - broken down by syllable]、怠け者 [natural native speed] |
VOCAB AND PHRASE USAGE |
Naomi: では、ダイアログに出てきた単語や表現を確認しましょう。 |
Chris: 今回のダイアログには似た表現が2つありましたね。「急に」と「いきなり」は "suddenly" という意味で、意味は同じですか? |
Naomi: うん、だいたい同じなんですけど、ちょっとニュアンスが違うんですね。例えば、「急に」というのは、「状態がとても変わる」というニュアンスなんです。 |
例えば、「急に雨が降り出した」 |
Chris: It suddenly started raining. |
Naomi: これは、今まで晴れていたのに、その状態が変わって雨が降り始めたという意味なんです。 |
それに対して、「いきなり」は「全く予想もしてないときに、何かが起きた」「予想してなかった」というニュアンスが強くなるんですね。 |
で、ここで大切なのは、「いきなり」は動物や人間に使いますけど、「天気」には使うことができないんです。 |
Chris: じゃあ、「いきなり雨が降り出した」はダメなんですね? |
Naomi: うーん、言えないですね。その場合は、「急に雨が降り出した」と言ったほうが自然だと思います。 |
あと、「いきなり」には、順番 “order”や 準備 “preparation”、手続き ”process” を飛ばして……というニュアンスがあるんですね。 |
例えば、「知らない人にいきなりプロポーズされた」 |
Chris: "I was suddenly proposed to by a stranger." |
(笑)それは、すごいいきなりですね。 |
Naomi: そうですよね。すごいいきなりですよね(笑) たぶん、普通、自己紹介して、デートして、付き合って、それから少ししてプロポーズ……という感じですよね。そういう順番を全部飛ばして、プロポーズされたというニュアンスなんです。 |
Chris: うん。じゃあ「急に」と「いきなり」の違いが何となく分かりました。でも、「突然」という言葉もありますよね? |
Naomi: おお、おお……嫌な質問ですね(笑) そうです。突然も “suddenly” という意味ですもんね。 |
「突然」も「いきなり」と一緒で、「予想してなかったことが起きた」ということなんですが、だいたい「瞬間的に起こること」に使います。分かりますかね? |
Chris: はい! So it tends to be used with instantaneous actions? |
Naomi: そうそうそう。だから「突然ドアが閉まった(Chris: The door closed suddenly)」とか、「突然、電気が消えた(Chris: The light suddenly went out)」なんて感じですかね。 |
じゃあ、まとめましょう。クリスさんが今から英語を言いますので、リスナーの皆さんは、日本語に訳してみてください。いいですか? |
Chris: It suddenly started raining. |
Naomi: (wait for 10 sec)急に雨が降り出した。 |
「急に」は「状態がとても変わる」ということでしたね。じゃあ、次の問題。 |
Chris: I was suddenly proposed to by a stranger. |
Naomi: (wait for 10 sec) 知らない人にいきなりプロポーズされた。 |
「いきなり」は「順番や準備、手続きを飛ばして」というニュアンスがあるんでしたよね。じゃあ最後の問題。 |
Chris: The door closed suddenly. |
Naomi: 突然ドアが閉まった |
「突然」は「瞬間的に起こる動作」と一緒に使うんでした。 |
どうでしたか?全部正解でしたか?レッスンノートに詳しく書いてありますので、よく読んでおいてくださいね。では、今日のイディオムに入りましょう。 |
Lesson focus
|
Naomi: ここでは、舌 "tongue"を使ったイディオムをいくつか紹介しましょう。 |
Chris: In this lesson, you'll learn some set expressions that use the word “舌(した)”, meaning "tongue". |
Naomi: ダイアログの中には、6個出てきましたけど、このオーディオでは、2つだけ説明します。 |
Chris: 最初の表現は? |
Naomi: 舌鼓(したつづみ)を打つ |
Chris: 「舌鼓を打つ」? 「打つ」は ”to smack” とか “to hit” ですが、「舌鼓」は何ですか? |
Naomi: 舌は ”tongue” ですよね。「鼓(つづみ)」というのは小さな太鼓のことです。英語だとhand drum? |
Chris: Right."A traditional Japanese hand drum." |
Naomi: 「舌鼓」というのは、舌の太鼓とか舌のドラムということなんですね。これは「おいしいものを食べたときに、思わず出てしまう舌の音」なんだそうです。「舌鼓を打ってしまうくらい、とてもおいしい」という意味なんですね。英語だと、こういうの何て言うんですか? |
Chris: うん。to smack my lips |
Naomi: ああ!英語だと、舌”tongue” じゃなくて ”lips” だから、唇を打つんですか。 |
Chris: うん、そうですね。 |
Naomi: 「唇鼓を打つ」って感じなんですかねえ(笑) |
Chris: そうですね。まあ、意味は全く同じなんですけどもね(笑) |
Naomi: ああ、面白いですね~。では、例文読みますね。 |
初めて食べる神戸牛に舌鼓を打った。 |
Chris: The Kobe beef I had for the first time had me smacking my lips. (To Chris - please feel free to change these translations if something else sounds better to you!!) |
Naomi: 神戸牛、相当おいしかったんですかね~。クリスさんはどうですか?最近、舌鼓を打ったことはありますか? |
Chris: ありますねえ。 |
Naomi: 何ですか? |
Chris: 東京にも何カ所もあると思うんですけど、「もうやんカレー」っていうカレー屋さんって、ご存じですか? |
Naomi: ええ?知らない。もうやんカレー? |
Chris: もうやんカレーですね。これって、日本のカレーなんですけども、すごく味が深いカレーで、口だけが辛いんじゃなくて、体全体が辛さを感じて、もう舌鼓を打つっていう感じで、本当に、毎回。 |
Naomi: もう舌鼓をずっと打ってた感じですか。 |
Chris: ずっと打ってる感じですね(笑) 東京にいる方にはオススメです。 |
Naomi: あ、なるほどね。何でしたっけ?お店の名前。 |
Chris: もうやんカレーって言います。 |
Naomi: じゃあ、クリスさんは、もうやんカレーで舌鼓を打ったんですね。 |
Chris: (笑) 次の表現は何ですか? |
Naomi: はい。次の表現は、「舌の根の乾かぬうち」あるいは「舌の根が乾かぬうち」。 |
Chris: 舌の根?「舌」は”tongue” で、「根」は”root” ですね。 |
Naomi: はい。 |
Chris: だから「舌の根」は "root of one's tongue" ですね。 |
Naomi: そうですね。 |
Chris: ふーん。「乾かぬうち」は何ですか? |
Naomi: 「〜ぬ」は「無い」という意味ですよね? ですから「乾かぬ」は「乾かない」。「うち」は「間」とか「前」という意味ですから、「乾かぬうち」というのは、「乾かない間に」とか、「乾かない前」ということです。 |
Chris: 舌の根が乾かない間に? "while root of one's tongue is still wet" or "before one's tongue dries" |
Naomi: うん。「舌の根が乾かない」というのは、何かを言ってから、まだ時間が経ってないということなんですね。 |
Chris: ふーん。 |
Naomi: 話すと口の中にツバが回りますので、湿ってるじゃないですか。 |
Chris: はい。 |
Naomi: 例えば、何かを言ったすぐ後に、全く逆のことを言う人っていますよね? |
Chris: うん。 |
Naomi: その人を非難するときに使います。「舌の根の乾かぬうちに、こんなことを言った」なんて感じですかね。英語だと、どんなふうに言いますか? |
Chris: そうですね。"in the same breath"とかですかね。 |
Naomi: ああ、英語だと「同じ息で……」みたいな感じなんですかね。 |
Chris: そうですね。そのとおり。 |
Naomi: じゃあ、ダイアログに出てきた文章を見てみましょう。 |
「『税金は上げない』って言ったのに、その舌の根の乾かぬうちに『消費税を10パーセントにする』なんて言うから、支持率が下がったんだ」 |
Chris: Even though he said he wouldn't raise taxes, in the same breath, he said he was going to put consumption tax up to 10%, so his approval rating dropped. |
Naomi: ちょっと難しい文章でしたが、「税金を上げない “wouldn't raise taxes” 」ということと、「消費税を10パーセントにする “[to set consumption tax at 10%]” 」という全く逆の2つのことを、間を開けないで言っちゃったということなんですね。 |
Chris: それは、人気がなくなって当然ですね(笑) |
Naomi: 当然ですよねえ。ということで、いろいろ「舌」を使った表現を今回紹介しましたが、レッスンノートには、他にも「舌打ち」「舌足らず」「二枚舌」「舌先三寸」なんていう表現が紹介してありますので、ぜひ読んでおいてくださいね。 |
クリスさん、ちなみに、英語には「舌」を使った表現はありますか? |
Chris: たくさんありますね。えーと、cat got your tongueとか, silver tongueとか。 |
Naomi: ああ。Silver tongue? |
Chris: Silver tongue。そうですね。口が上手いとかそういう。はい。 |
Naomi: おお〜、ああ。「銀色の舌」みたいな(笑) |
Chris: そうですね。 |
Naomi: なるほどね。 |
Chris: もう本当にたくさんあります。 |
Outro
|
Naomi: リスナーの皆さんの話す言葉には、「舌」を使った表現はありますか?そしてそれは、どんな意味でしょう?ぜひ教えてください。 |
Chris: それじゃあ、このレッスンはここまで。 |
Naomi: それじゃあ、また。 |
Chris: さよなら。 |
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