INTRODUCTION |
Natsuko: こんにちは。なつこです。 |
Naomi: なおみです。 |
Naomi: 今回から新しく第四シリーズが始まります。この第四シリーズからはクリスさんに英語を担当してもらいます。クリスさん、よろしくお願いします。 |
Chris: Chris です。よろしくお願いします。 |
Naomi: クリスさんの自己紹介はボーナストラックに入れておきましたので、そちらも是非チェックしておいてくださいね。それでは、なつこさん、さっそくですが、今回のレッスンのテーマ、お願いします。 |
Natsuko: はい。今回は「頭」を使った表現のレッスンです。 |
Chris: In this lesson you'll learn some expressions using the word 頭, meaning "head." |
Naomi: 誰と誰の会話でしょうか。 |
Natsuko: 西村さんと神田さんという二人の男性の会話です。この二人は、友達でサラリーマンのようですが、どうやら違う会社に勤めているみたいですね。 |
Naomi: なるほど。とても、カジュアルな日本語で話していますので、多分、学生時代の友達かな? |
Natsuko: あ、そうかもしれませんね。 |
Chris: This conversation is between two friends, Mr. Nishimura and Mr. Kanda. It seems like they're company workers, but working for different companies. Since they're friends, they are using informal Japanese. |
Natsuko: では、さっそく聞いてみましょう。 |
DIALOGUE |
西村:神田と飲むの、久しぶりだなぁ。最近、どうだ?調子は? |
神田:いやー。先月異動してきた部長が頑固で、困ってるんだ。 |
西村:誰でも、年とともに、頭が固くなるんだよ。 |
神田:だけど、俺たち、営業は、お客さんの要求に柔軟に対応しなくちゃいけないだろう。 |
それなのに、部長は、特別な対応をしようとすると、前例がないとか言って、なかなかOKをくれないんだ。 |
西村:そうか。。客と上司の板ばさみじゃ、頭が痛いな。 |
神田:みんな、この部長には頭を抱えているんだ。 |
西村:でも、まぁ、困った上司に、部下が苦労するっていうのは、よく聞く話だよな。俺のアシスタントも苦労しているかもな。 |
彼女、すごく頭の回転が速いんだ。一をきいて十を知る・・・というタイプの人だよ。 |
俺のミスもカバーしてくれるし、本当に頭が上がらないよ。 |
神田:へぇ、いいな、お前は人間関係に恵まれてるな。 |
西村:いや、正直言って、彼女は、俺に対する不満もあるだろうし、俺に頭にくることもあると思う。 |
でも、俺は常に感謝の気持ちを伝えるようにしているんだ。だから、うまくいっているんだと思うよ。 |
神田:なるほどね。西村のそういう考え方には、頭が下がるよ。 |
俺も、少し頭を冷やして、部長とうまくいくように努力してみようかな。 |
Natsuko: 次は、英語が入ります。 |
西村:神田と飲むの、久しぶりだなぁ。最近、どうだ?調子は? |
Chris: It's been a long time since I've gone drinking with you, Kanda. How's everything going lately? |
神田:いやー。先月異動してきた部長が頑固で、困ってるんだ。 |
Chris: Well...the manager who transferred to our office last month is a stubborn guy, and I'm having a hard time. |
西村:誰でも、年とともに、頭が固くなるんだよ。 |
Chris: You know, everyone gets a little hard-headed as they get older. |
神田:だけど、俺たち、営業は、お客さんの要求に柔軟に対応しなくちゃいけないだろう。 |
Chris: Yeah, but us guys in sales have to be really flexible when it comes to dealing with the customers' demands, right? |
神田:それなのに、部長は、特別な対応をしようとすると、前例がないとか言って、なかなかOKをくれないんだ。 |
Chris: Even so, when we try to deal with something in a special way, he doesn't let us do it, saying that it's unheard of and stuff like that. |
西村:そうか。。客と上司の板ばさみじゃ、頭が痛いな。 |
Chris: I see...being torn between the manager and the customers has got to be a headache. |
神田:みんな、この部長には頭を抱えているんだ。 |
Chris: Yeah, everyone's really agonizing over him. |
西村:でも、まぁ、困った上司に、部下が苦労するっていうのは、よく聞く話だよな。 |
Chris: But, you know, you hear a lot of stories about subordinates having a tough time with their superiors. |
西村:俺のアシスタントも苦労しているかもな。 |
Chris: I'm sure my assistant is having a hard time too. |
西村:
彼女、すごく頭の回転が速いんだ。一をきいて十を知る・・・というタイプの人だよ。 |
Chris: She's got a good head on her shoulders, though. Really quick on the uptake, that kind of person. |
西村: 俺のミスもカバーしてくれるし、本当に頭が上がらないよ。 |
Chris: She takes care of any mistakes I make. I really owe her a lot. |
神田:へぇ、いいな、お前は人間関係に恵まれてるな。 |
Chris: Wow, that's really nice. You have it good when it comes to relationships. |
西村:いや、正直言って、彼女は、俺に対する不満もあるだろうし、俺に頭にくることもあると思う。 |
Chris: Well, to be honest, I'm sure she's got some issues with me, and I'm sure there are times she gets angry. |
西村: でも、俺は常に感謝の気持ちを伝えるようにしているんだ。だから、うまくいっているんだと思うよ。 |
Chris: But I'm always trying to show my appreciation, you see. That's why I think things go well. |
神田:なるほどね。西村のそういう考え方には、頭が下がるよ。 |
Chris: Got it. I take my hat off to your way of thinking. |
神田:俺も、少し頭を冷やして、部長とうまくいくように努力してみようかな。 |
Chris: I guess I should cool down a bit and try and make an effort to make things good between me and the manager. |
POST CONVERSATION BANTER |
Naomi: 第一回目のレッスンということで、ずいぶん、まじめな会話ですね。 |
Natsuko: ほんと。 |
Naomi:せっかく友達とお酒を飲んでいるのに、仕事の話ばかりじゃ、楽しくないんじゃないかなぁ・・・なんて思っちゃいますけどね。 |
Natsuko: まぁ、でも、そうでうね。こういう話、なかなか社内の人には言えないんでしょうね。 |
Naomi: あ、確かに。 |
Natsuko: でも、まぁ、神田さんは、大変そうですね。なんか「客と上司の板ばさみ」なんて言ってましたからね。 |
Naomi: そうですね。前のシリーズでも「板ばさみ」という言葉は出てきましたが、クリスさん、「板ばさみ」っていうのは、英語で言うとどういうことなんですか。 |
Chris: そうですね。様々な言い方があると思うんですけれども、たとえば、”caught in a bind” それとも、”dilemma”。 あと、”between a rock and a hard place” という、まぁちょっと珍しい表現もありますけれどもね。 |
Naomi: へぇ~。”Rock and a hard place” っていうことは、石と硬い場所の間に挟まっているっていることですか。 |
Chris: そうですね。で、板ばさみに近いような表現になりますね。でも、具体的に、「客と上司の板ばさみ」って、どういう状況ですか。 |
Naomi: これはですね、営業をしている人っていうのはわかると思うんですけど、神田さんは、お客さんからの要求 (demand) あるいは頼みを聞いてあげようって思っているわけなんですよね。でも、神田さんの上司は、そんな要求を聞いちゃダメだ、って言ってるわけです。 |
Natsuko: つまり、神田さんは、お客さんの要求と上司の意見が違っているのに、どちらの意見も聞こうとしているので、お客さんと上司の間に挟まちゃってる、そういう状況なんですね。 |
Chris: So, in this situation, it means that Mr. Kanda got caught in the middle with conflicting demands from his customers and his boss. |
Naomi: 今回は、「客と上司の板ばさみ」でしたが、これだけじゃなくて「板ばさみ」っていう状況は、よく起きますよね。 |
Natsuko: そうですよね。例えば、仕事と家庭の板ばさみとか。・・・「あなた、私と仕事とどっちが大事なの???」なんてね。よく聞きますよね。 |
Chris: あと、愛と友情の板ばさみとか。友達の彼女を好きになっちゃった、とか。 |
Naomi: あるんですか?クリスさんは。 |
Chris:私は、ないですけど。 |
Naomi: 皆さんは、何かと何かの板ばさみになったことはありますか。もしあったら、教えてください。 |
VOCAB AND PHRASE USAGE |
Naomi: では単語をいくつか確認しましょう。まず「異動」。 |
Chris:”transfer to a different section” |
Natsuko: この「異動」は「人を動かす」という意味です。物を動かすことも「移動」と言いますが、漢字が違いますので、気をつけてください。 |
Chris: ちょっと、わかりにくいですね。 |
Naomi: そうですね、ちょっと、AUDIOでは説明しにくいので、この漢字はかならず、PDFで確認しておいてください。それから、「物を動かす」という意味の移動の漢字も辞書で確認しておいてくださいね。 |
Natsuko: “Transfer” の意味の「異動」は、「異なる」 “differ”という漢字を使います。「異なる部署に人を動かす」という意味からきているというふうに考えると覚えやすいですね。 |
Chris: Oh, I see. The kanji compound meaning "transfer" originated from the context of "to move someone to a different section." So, the kanji meaning "different" is used. |
Naomi: では、次の単語をみていきましょう。 |
Natsuko: 前例 |
Chris: “precedent” |
Natsuko: 「前例」これは、漢字を見るとわかりやすいと思いますが、前の例、つまり前に起きた事、事前に起きた例、あるいは「しきたり」(tradition) という意味なんですね。 |
Naomi: よく、「前例がない」とか「前例がありません」というふうに使いますが、それは、「前に似たようなことが起きたことはありません」という意味なんです。ダイアログの中で神田さんはこんなふうに言っていました。 |
Natsuko: 「部長は、特別な対応をしようとすると、前例がないとか言って、なかなかOKをくれないんだ。」 |
Chris: “When we try to deal with something in our own way, he doesn't let us do it, saying it's unheard of and stuff like that.” |
前例がない・・・と言っていたら新しいことは何も始められない・・・と僕は思いますけどね。 |
Naomi: そのとおりですね。 |
Natsuko: うーん、そうですよね。 |
Naomi: では、次に、おもしろい表現を見ていきましょう。なつこさん、お願いします。 |
Natsuko: はい。「一を聞いて十を知る」 |
Chris: "One word is enough to the wise." |
Naomi: 「ちょっと説明を聞いただけで、全て、全部を理解する」という意味なんですね。ちょっとの説明が1、全部が10なんです。とても賢いという意味です。例文をお願いします。 |
Natsuko:「彼は、とても賢くて、一を聞いて十を知るような人だ。」 |
Chris: “He is so smart and really quick on the uptake.” |
Naomi: これは、とても良いほめ言葉ですよね。 |
Natsuko: そうですね。悪い意味では使わないですね。 |
Lesson focus
|
Naomi: このレッスンのテーマは「頭」を使った、表現です。 |
Chris: The focus of this lesson is expressions using the word 頭, meaning "head." |
Naomi: 「頭」という単語は、体の首から上の部分をさしますよね。 |
Natsuko: そうですよね。 |
Naomi: でもそれだけじゃなくて、頭の中で考えている事という意味になる場合があります。 |
Natsuko: あ~、確かに。 |
Naomi: 今回のダイアログでは、いろいろな「頭」を使った表現が出てきましたので、確認していきましょう。 |
Natsuko:最初は、「誰でも、年とともに、頭が固くなるんだよ。」 |
Chris: “Everyone gets a little hard-headed as they get older.” |
Naomi: あ~ 英語でも、”hard-headed” っていうんですね。「頭が固い」”hard-headed”。似ていますね。 |
Natsuko:あ~、面白い。あの、覚え易くていいですね。 |
Naomi: この「頭が固い」という表現は、本当に頭が固くなるという意味ではなくて、頭の中の「考え」が固い、あるいは古い、という意味なんですね。 |
Natuko: 「自分の意見を変えられない」とか、「融通が利かない」という意味です。 |
Naomi: あ、いい表現が出ちゃいましたね。「融通が利かない」。クリスさん、「融通が利かない」って英語でなんて言うんですか。 |
Chris: 直訳しますと、"to not have flexibility" "to be inflexible"。 |
Natsuko: あ~、そうですね。これと反対の意味で、「頭が柔らかい」という表現もあります。「柔らかい」は、”soft” という意味なので、考えが柔らかくて、融通が利く (flexible) という意味で「頭が柔らかい」と言いますね。 |
Naomi: では次の表現です。 |
Natsuko: 「みんな、この部長には頭を抱えているんだ。」 |
Chris: “Yeah, everyone's really agonizing over him.” |
Naomi: 「あ~どうしよう!」というときに、頭に手をやって、頭をつかんだりしますよね。頭をつかむこの動作を「頭を抱える」って言うんですけど、「頭を抱える」というのは、「困っている」とか「どうしたらいいかわからなくて困っている」という意味なんですね。 |
クリスさん、これって、ユニバーサルなジェスチャーなんですか。 |
Chris: そうですね。ユニバーサルかどうかわからないんですけども、欧米では、一応似たようなジェスチャーがあるんですけども、頭ではなくて、ほっぺをつかむようなジェスチャーなんですね。 |
Naomi/Natsuko: ほ~~。 |
Chris: あ~困ったぁ。やばい~。みたいな。 |
Naomi: そのときに、手をほほに当てるんですか。 |
Chris: そうですね。 |
Naomi: あ、ムンクみたいな感じだ。 |
Natsuko: あ、そうだ。叫んでるみたいな。(笑い) |
Chris: そんな感じですね。 |
Naomi: この頭を抱えるジェスチャーっていうのは、私は、良くすごくするんですけど、なつこさんは、「あ~どうしよう!!!」というときに、実際に頭を抱える、このポーズします? |
Natsuko: します、します。結構、抱えてます。 |
Naomi: そうですよね。私も結構抱えちゃいますね。 |
Naomi: では、最後にもう一つ、頭を使った文章をお願いします。 |
Natsuko: 「俺のミスもカバーしてくれるし、本当に頭が上がらないよ。」 |
Chris: "She takes care of any mistakes I make, and I owe her a lot." |
Naomi: 「頭が上がらない」というのは、相手にとってもお世話になっているときに使います。例えば、「どうもありがとう」っていうふうに言って、頭を下げる時は、自分の頭が相手の頭より下にありますよね。 |
Natsuko: あ~確かに。 |
Naomi: その頭を上げることができないくらい、感謝しているとか、お世話になっているという意味なんですね。 |
Natsuko: そうですね。あの、ま、感謝しているかどうか・・・というのもまあ、本当は人によるのかもしれないんですけど、少なくとも、「相手に負い目を感じている」ことは間違いないですね。 |
Naomi: あ、そうですね。 |
Chris: 「負い目を感じる」は "someone owes someone else." So, you literally use the term to be unable to raise the head, not to raise the head, sort of mirroring the actual gesture of submission of a bow or something to a different person. |
Naomi: そうですね。 |
Chris:なるほど。 |
Naomi: クリスさん、英語には頭を使った表現ってありますか。 |
Chris: あの、たくさんあると思うんですけれども、ちょっとおもしろいのは、”pig headed” っていう表現なんですね。 |
Natsuko: 豚の頭? |
Chris: そうですね。直訳しますと豚の頭なんですけれども。要するに、あの、頑固ということですね。 |
Naomi/Natsuko: へぇ~~。 |
Natsuko: 豚って、頑固なんですかね。 |
Naomi: ね、おもしろい! |
Chris: どうでしょうかね。固いということもあるかもしれないですね。イメージは。 |
Natsuko: じゃ、まさに、頭が固い、みたいな感じですか。 |
Naomi: へー。なるほどぉ。おもしろいですね。 |
Natsuko: リスナーの皆さんの話している言葉には「頭」を使った面白い表現がありますか。 |
Naomi: あったら、是非教えてくださいね。 |
Outro
|
Naomi: それではこの辺で。 |
Natsuko: それでは、また |
Chris: See you next time. |
Comments
Hide