Intermediate Lesson #53 |
INTRODUCTION |
Natsuko: 第53回中級レッスン、こめどんやのおれい。こんにちは、Natsukoです。 |
Sachiko: Sachikoです。 |
Natsuko: Sachikoさん、今日は昔話の回みたいですよ。 |
Sachiko: そうですね。 |
Natsuko: 「米問屋のお礼」」というのが、その昔話のタイトルらしいんですけど、「米問屋」ってなんですか? |
Sachiko: そうですね。「米」っていうのはRiceのことを言いますね。 |
Natsuko: はい。 |
Sachiko: 「どんや」っていうのは「問屋(とんや)」、もともと「問屋」Wholesalerという意味で、濁音になりましたね。「こめとんや」が言いにくいから「こめどんや」になったみたいですね。 |
Natsuko: なるほどね。そうすると、Rice Wholesalerが出てくるんですね。 |
Sachiko: はい。 |
Natsuko: うん。 |
Sachiko: で、それの「お礼」、それのThe appreciation of the gratitude of the rice wholesaler. ということですね。 |
Natsuko: Sounds interesting. |
Sachiko: Yes ちょっと |
Natsuko: どんな話なんでしょうね。 |
Sachiko: ね、ちょっと聞いてみましょうか。 |
Natsuko: はい。 |
DIALOGUE |
むかしむかし、ある海辺に、おじいさんとおばあさんと息子と嫁とが暮らしていました。 |
おじいさんと息子は沖に出て魚をとり、おばあさんと嫁は機(はた)を織(お)る毎日でした。 |
ある日の事、おじいさんと息子が沖へ漁に出ていると、急に空模様(そらもよう)があやしくなってきました。 |
おじいさん: こりゃ、大雨になるぞ。 |
息子: お父っつぁん、あの島へ行こう。 |
二人は大いそぎで、近くの島へ逃げました。 |
だんだん雨風が強まるなか、やっと舟をおかに押し上げて、洞穴(ほらあな)にこもり、大荒れに荒れる海を見ながら、二人はジッと夜を明かしました。次の朝、大雨がやんだので、二人は舟を出して魚をとりはじめました。 アミを海に入れると、とても重い手ごたえがあります。二人がなんとかアミを引き上げてみると、アミの中には二十五、六歳の立派(りっぱ)な着物を着た男がかかっていたのです。 |
息子: お父っつぁん、こりゃあ。 |
おじいさん: うむ、ゆうべの大雨に流されてきたお人じゃろう。かわいそうなことだが、もう死んでいる。 |
二人は島に穴をほると、その男をていねいにうめてやりました。 |
おじいさん: 今日は、ひきあげよう。おばあさんに頼まれていた物を買ってから帰ろう。 |
二人は大きな町がある港へ、舟をこぎ寄せました。 |
おみそやお米を買おうと、お米屋へ行ったら、そこの旦那(だんな)が声をかけてきました。 |
旦那: もし、あなたたちは、昨夜の大雨の時、どうしていましたか? |
おじいさん: はい、わしたちは危ういところで島に逃れられました。 |
旦那: そうでしたか、それはよろしゅうございました。ところでここへ来る途中、千石船(せんごくぶね・江戸時代、米を千石ほど積める大形の和船)を見かけませんでしたか? |
おじいさん: いいや、見なかったですな。ですが今日、わしらのアミに若い男の死骸(しがい)がかかって、島にうめてきました。 |
旦那: 死骸ですと! |
おじいさん: なにか、心当りでもありなさるのか? |
旦那: 実は、息子が大阪に千石船で米を積んで出て行ったのですが、そこへあの大雨。心配しているところです。 |
おじいさん: そうじゃったか。 |
旦那: ごめんどうをおかけしますが、わたしをその島へ連れて行ってもらえますまいか? |
二人は旦那を乗せて、その島へ戻りました。うめた死骸をほり返してみると、旦那の顔から血の気が引きました。 |
旦那: むっ、息子です。 |
二人は死骸を乗せて再び港へ引き返し、立派な葬式(そうしき)にも立ちあいました。 |
旦那: あなたたちには、すっかりお世話になりました。わたしの心からのお礼を港に用意しました。どうか受け取って下さい。 |
おじいさん: いや、お礼なんぞいりません。 |
旦那: いいえ、あなたたちは息子をていねいにうめて下さっただけでなく、持っていたお金も、そっくりそのままそえて下さっていた。その正直さに感銘(かんめい→感動)を受けました。どうぞ受け取ってやって下さい。 |
あまりに旦那が言うので受け取ることにしたのですが、旦那につれられて港へ行ってビックリです。なんと旦那が用意したお礼は千石船で、しかも米千石が積んであったのです。 |
その上、死んだ息子がもっていた百両(ひゃくりょう→七百万円ほど)以上もの金をくれたのです。二人はたちまち大金持ちになり、嫁とおばあさんの待っている家へ帰っていきました。 |
おしまい |
Natsuko: 次は英語が入ります。 |
むかしむかし、ある海辺に、おじいさんとおばあさんと息子と嫁とが暮らしていました。 |
おじいさんと息子は沖に出て魚をとり、おばあさんと嫁は機(はた)を織(お)る毎日でした。 |
ある日の事、おじいさんと息子が沖へ漁に出ていると、急に空模様(そらもよう)があやしくなってきました。 |
Long, long ago, an old man and woman lived by the seaside with their son and daughter-in-law. Every day, the old man and his son used to go fishing far out at sea and the old woman and her daughter-in-law would weave. One day while the old man and his son were fishing far off the shore, the weather suddenly began to worsen.. |
おじいさん: こりゃ、大雨になるぞ。 |
Oh heavy rain is coming. |
息子: お父っつぁん、あの島へ行こう。 |
Dad, let’s go on to that island. |
二人は大いそぎで、近くの島へ逃げました。 |
だんだん雨風が強まるなか、やっと舟をおかに押し上げて、洞穴(ほらあな)にこもり、大荒れに荒れる海を見ながら、二人はジッと夜を明かしました。次の朝、大雨がやんだので、二人は舟を出して魚をとりはじめました。 アミを海に入れると、とても重い手ごたえがあります。二人がなんとかアミを引き上げてみると、アミの中には二十五、六歳の立派(りっぱ)な着物を着た男がかかっていたのです。 |
The two of them hurried to a nearby island. While the rain and wind were getting stronger and stronger, they managed to pull the boat up on to the shore. They took shelter in a cave and spent the night keeping still and watching the ocean grow rougher and rougher. The next morning the heavy rain stopped and they launched their boat and started catching the fish. When they put a fishing net into the sea, they felt something heavy. They managed to pull out the net and in it found a 25 or 26 year old man dressed in a lavish kimono. |
息子: お父っつぁん、こりゃあ。 |
Dad, what’s this? |
おじいさん: うむ、ゆうべの大雨に流されてきたお人じゃろう。かわいそうなことだが、もう死んでいる。 |
Well I guess he was swept away by the storm last night. What a pity! He is already dead. |
二人は島に穴をほると、その男をていねいにうめてやりました。 |
They dug a hole on the island so the man can be buried respectfully. |
おじいさん: 今日は、ひきあげよう。おばあさんに頼まれていた物を買ってから帰ろう。 |
We have to leave now. Let’s go home after we buy what I was asked to get by my wife. |
二人は大きな町がある港へ、舟をこぎ寄せました。 |
おみそやお米を買おうと、お米屋へ行ったら、そこの旦那(だんな)が声をかけてきました。 |
They rode the boat into the harbor of a bit town when they stopped by a rice shop to buy miso and rice. The shopkeeper spoke with them. |
旦那: もし、あなたたちは、昨夜の大雨の時、どうしていましたか? |
Excuse me, what were you doing during the heavy rain last night? |
おじいさん: はい、わしたちは危ういところで島に逃れられました。 |
Luckily, we managed to get on to an island. |
旦那: そうでしたか、それはよろしゅうございました。ところでここへ来る途中、千石船(せんごくぶね・江戸時代、米を千石ほど積める大形の和船)を見かけませんでしたか? |
Did you? That’s good. By the way, did you see a Sengokubune? |
おじいさん: いいや、見なかったですな。ですが今日、わしらのアミに若い男の死骸(しがい)がかかって、島にうめてきました。 |
No we didn’t but we retrieved the dead body of a young man caught in our net and buried him on the island today. |
旦那: 死骸ですと! |
Did you say a dead body? |
おじいさん: なにか、心当りでもありなさるのか? |
Is there something on your mind? |
旦那: 実は、息子が大阪に千石船で米を積んで出て行ったのですが、そこへあの大雨。心配しているところです。 |
Well to tell the truth, my son sailed out to Osaka carrying rice on a Sengokubune. Then the heavy rain came. So I am very worried. |
おじいさん: そうじゃったか。 |
Yes I see what you mean. |
旦那: ごめんどうをおかけしますが、わたしをその島へ連れて行ってもらえますまいか? |
I am sorry to trouble you but could you please take me out on to that island? |
二人は旦那を乗せて、その島へ戻りました。うめた死骸をほり返してみると、旦那の顔から血の気が引きました。 |
They took the shopkeeper on board and returned to the island. Once they dug up the body, the shopkeeper went pale. |
旦那: むっ、息子です。 |
It’s – it’s my son. |
二人は死骸を乗せて再び港へ引き返し、立派な葬式(そうしき)にも立ちあいました。 |
The old man and his son took the body on board and returned to the harbor again. They also attended the great funeral. |
旦那: あなたたちには、すっかりお世話になりました。わたしの心からのお礼を港に用意しました。どうか受け取って下さい。 |
Thank you for everything. I have prepared something for you at the harbor as a token of my sincere appreciation. Please accept it. |
おじいさん: いや、お礼なんぞいりません。 |
Oh it’s nothing; you don’t need to do that. |
旦那: いいえ、あなたたちは息子をていねいにうめて下さっただけでなく、持っていたお金も、そっくりそのままそえて下さっていた。その正直さに感銘(かんめい→感動)を受けました。どうぞ受け取ってやって下さい。 |
Not only did you bury my son respectfully, but you put all the money he carried together with his body. I was so impressed by your honesty. So please accept it. |
あまりに旦那が言うので受け取ることにしたのですが、旦那につれられて港へ行ってビックリです。なんと旦那が用意したお礼は千石船で、しかも米千石が積んであったのです。 |
その上、死んだ息子がもっていた百両(ひゃくりょう→七百万円ほど)以上もの金をくれたのです。二人はたちまち大金持ちになり、嫁とおばあさんの待っている家へ帰っていきました。 |
They decided to accept it because the shop owner insisted but they were shocked when they were taken to the harbor by the shop owner, the token of appreciation that the shop owner had prepared was the Sengokubune which in addition had 1000 koku of rice loaded. Furthermore, he gave them more than 100 Ryo. Instantly, they became very rich and then went back home where the old woman and daughter-in-law were waiting for them. |
おしまい |
The end. |
POST CONVERSATION BANTER |
Natsuko: Sachikoさん、長い話でしたけどどう思いましたか? |
Sachiko: なんかずいぶん長くて、どんどんどんどんグロテスク?になっていったんで、ちょっと怖かったんですけども |
Natsuko: えー。 |
Sachiko: ま、最後はハッピーエンドだからいいかな、と思って。 |
Natsuko: そうですね。It developed into kind of scary. |
Sachiko: It did. It just kept getting more and more grotesque and then at the ending, it was all of a sudden happy. So it’s a bit ちょっと interesting. |
Natsuko: Hmm…ほんとうにあった話なのかなって思いました。 |
Sachiko: I hope it didn’t come true. I hope it wasn’t a true story because somebody died. |
Natsuko: うーん、But it happens. |
Sachiko: ね、怖い話ですね。 |
Natsuko: ね。 |
Sachiko: はい。でもやっぱり、 Honesty is best 正直が一番、ということでしょうかね。 |
Natsuko: あ、そうですね。たぶん、そういうレッスンの入ったお話なんでしょうね。 |
Sachiko: ですね、きっと。Natsukoさん、すごい気になる事があるんですけど、このストーリーの中で、漁師さんが遺体を見つけた時に、始めからそのお金について知ってたんでしょうか? |
Natsuko: You mean, did the fisherman knew that this man was rich when they found the body? |
Sachiko: Because if the fisherman didn’t know that the person was rich and buried him without knowing it, I feel like he doesn’t deserve his gratitude. What do you think? |
Natsuko: あー、でも私は、たとえばお金持ちだと知っていて、 |
Sachiko: はい。 |
Natsuko: もしかしたら、「お礼がもらえるかも」と思って、 |
Sachiko: ひどい! |
Natsuko: だとしたら、それもあんまりHonestじゃないな、という気もするんですよ。 |
Sachiko: そうですよね。So if the fisherman buried him knowing that he was rich because he was wearing extravagant clothing right, then it would sort of put a little shadow on this man’s credibility. Wouldn’t it? |
Natsuko: Hmm. |
Sachiko: 知りたいですね。 |
Natsuko: ね、どのぐらいExpectしてたのかな?っていう感じはしますけどね。 |
Sachiko: はい。でもこんなことを疑問に思う私たちは、とってもJadedですね。悲しい! |
Natsuko: たぶん私たちは、Appreciationもらえないですよね。 |
Sachiko: もうもらえないですね。 |
Natsuko: 船はもらえないですね、きっとね。 |
Sachiko: 反省です。 |
Natsuko: はい。 |
Sachiko: おつかれさま。 |
Natsuko: おつかれさまです。 |
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