運慶と快慶 |
奈良県にある東大寺・南大門に、その二体は立っています。 |
「筋骨隆々」ということばを想起させる体躯、こちらを睨みつけるつり上がった双眼、内側から発せられる気合いで揺れているような裳…国宝の「金剛力士立像」です。 |
高さ8.4m、この巨大な木像は、鎌倉時代に作られました。 |
門に向かって右側の、口を閉じている像を「吽形(うんぎょう)」と呼び、左側で口を開けて立っている像を「阿形(あぎょう)」と呼びます。 |
これらの像は、寺院内に仏敵が入り込むのを防ぐ「守護神」としての役割を担うだけあって、今にも動き出しそうな迫力。 |
この像の制作に携わった人物として有名なのが、「運慶」と「快慶」です。 |
二人が活躍する以前は、平面的で穏やかな雰囲気を漂わせる仏像が主流でしたが、「康慶」という仏師が立体的要素の強い、逞しい像を作り始めます。 |
この人物こそ、運慶の父であり、快慶の師匠。 |
才能溢れる二人の若手仏師は、切磋琢磨しながらのみを振るったことでしょう。 |
同じ師に学びながらも、運慶が「動」なら快慶は「静」と評価されるように、それぞれの作風が正反対なのも面白いところ。 |
今から約800年前に、しかもわずか二ヶ月という短期間で、圧倒的な存在感を持つ大作を完成させた二人には、どのようなドラマがあったのでしょうか。 |
一度見たら忘れられない強烈なインパクトの巨像は、様々な想像をもかき立てる彫刻です。 |
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