Dialogue

Vocabulary (Review)

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Lesson Transcript

芥川龍之介
平安時代、都の正門である「羅生門」で主人公の下人(げにん;召使いの青年)が雨宿りをしている場面から、この話は始まります。
彼は職を失い、食べていくためには盗人になるしかないと考えています。しかし、「勇気」が出ないまま思い悩んでいると、羅生門の上から物音がします。梯子を上った下人が見たものは、引き取り手のない遺体がごろごろと捨てられている暗闇の中で動く灯りでした。なんと、松明を手にした老婆が若い女の遺体から髪を抜いているではありませんか。
激しい怒りを抱いた下人は刀を抜き、老婆に飛びかかるのですが、彼女は「この女は生前、蛇を魚だと偽って売っていた。それは悪いことだが、生きるためには仕方なかった。したがって私が遺体の髪を抜いてかつらを作り、売ったとしても許されるはず。生きるためにやむなく行なう悪なのだから」と主張します。
これを聞いた下人は「これも生きるために仕方なくすることだ」と言って老婆の着物を剥ぎ取ると、夜の闇に消えていきました。
これは、芥川龍之介の代表作『羅生門』のあらすじです。この作品は「生きていくためには悪事も許される」という考え方の是非を問う問題作で、中学校の教科書にも掲載されています。歴史小説ですが、短編なので日本語上級者の皆さんであれば読みこなすことができるでしょう。
作品の末文は「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあった。」から「下人は、既に、雨を冒して京都の町へ強盗を働きに急いでいた。」へ、さらに「下人の行方は、誰も知らない。」と書き換えられています。なぜ推敲されたのかを考えることも、作者の思いを探る上で面白いですね。
『羅生門』以外にも、誰しもが持つ矛盾した感情をテーマとする作品を次々と発表した芥川でしたが、36歳の若さで服毒自殺を遂げています。現在でも広くファンを獲得し、年に二回選考される新人賞は彼の功績を記念して「芥川賞」と名づけられているほど、近代文学史上、特筆すべき優れた作家です。
1892年3月 東京都に生まれる
1927年7月 享年36歳
代表作 『羅生門』
『蜘蛛の糸』
『鼻』

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