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Advanced Japanese Lesson: いくたびも

いくたびも雪の深さを尋ねけり 正岡子規(まさおか しき) 今回、紹介するのは冬の俳句です。「雪」という文字が見られるので、冬の情景を詠んでいることがすぐに分かりますね。 作者の正岡子規は明治時代を代表する文学者で、俳句だけでなく、短歌や評論などにも豊かな才能を開花させた人です。 この俳句の意味は、「何回も雪の深さを尋ねていることだなぁ」。 実は、この俳句が作られた日は東京に大雪が降ったそうです。しかしそのとき、子規は病床に臥せっていました。だから、窓の外では雪が降っているのに自分の目で見にいくことができません。そこで看護にあたっていた母や妹に「今、雪はどれくらい積もっただろうか」と何度も尋ねたのだそうです。 本格的な冬の到来を告げる雪ですが、初めて降ったり久しぶりに降ったりする際には、大人も子どもも何となく心が弾むものです。そんなわくわくした感じが、病人であった子規の心にも浮かんだのでしょう。戸外で雪が降り積もる様子を想像しては、束の間、病気のつらさを忘れて心を躍らせたのかもしれません。 ちなみに、ペンネームである「子規」は「ほととぎす」とも読み、結核という病気で血を吐いていた自分を「血を吐くまで懸命に鳴く」と言われる鳥の「ほととぎす」にたとえて名づけられました。 ===== Today, I would like to introduce a winter Haiku. The character "snow" can be found, therefore it's easy to tell that it is talking about winter. Shiki Masaoka is a literary... Show more

When Size Does Matter!

Are your eyes failing you, or is that hiragana character tinier than the other one? In Japanese, since there is a limit of hiragana characters, there is the need for some combinations. There are in total, 33 combination sounds that are made using small ya, yu, and yo. The following are examples of these combinations: KYA KYU KYO example : きゃく kyaku ( "customer" ), きゅう  kyuu  ("nine" ) SHA SHU SHO example : しゃかい  shakai  ("society" ) ; しゅみ  shumi  ("hobby" ) CHA CHU CHO example : ちゃいろ  chairo  ("brown" ) ;  ちゅんちゅん  chunchun  ("chirp chirp" ) NYA NYU NYO example : ぐにゃぐにゃ  gunyagunya  ("crooked" ) HYA HYU HYO example : ... Show more

Advanced Japanese Lesson:午前・午後

あなたがこのブログを読んでいるのは、午前中でしょうか。それとも午後? 今回は時間帯を表わす「午前、午後」の中に隠れている動物を紹介しましょう。 実は、「午」には「うま」という読み方があるのです。もともと「午」という漢字は、上下運動を交互に繰り返して穀物をつく杵(きね)を描いたものです。「杵」は木製なので「木(きへん)」をつけ、右側の「午」で杵の使い方・動きを表わしています。 さて、動物のウマを表わす漢字には既に「馬」が存在しました。それなら、なぜ杵を表わす「午」が「うま」と読まれるようになったのでしょう。その理由は、古代の中国にありました。人々が覚えやすいように十二支に身近な動物を取り上げた際、「午」の文字を「うま」と読むことに決めたのだそうです。 「午」は十二支では七番目にあたり、時刻では十一時から十三時までの二時間を指しています。この二時間のちょうど真ん中は十二時…「正午」ですね。ほら、「うま」が出てきましたよ。時間を数えるときに採用されている十二進法では、前半が終わり後半が始まる数のことを午(ご)と呼びます。縦方向の木と横方向の木が交差して組み立てられている杵のように、時間の概念においても前後の交差する時刻を「午」と表わしたのです。 ちなみに、ウマには角がありません。「午」の文字にもないでしょう。では、ウマに似ていて角が生えている動物は? そうです、「牛」ですね。この漢字は牛の頭部を記号化して作られています。 ===== Are you reading this blog in the 午前 am or 午後 pm? This time around I would like to introduce some hidden... Show more

And The Evolution Continues…

Because the range of syllables (spoken and written) in Japanese is limited, we cannot properly render many foreign sounds in Japanese. And as many more foreign words are used daily in Japanese, the solution was the addition of "new" katakana characters. Here are a few of the more common ones: FA FI FE FO example words: ファイル fairu ("file" ) ; フィンランド Finrando ("Finland" ) ;  サンタフェ Santa fe ("Santa Fe" ) ;  アイフォン aifon ("iPhone" ) VA VI VU VE VO example words: ヴァイオリン vaiorin  ( "violin" ) ;  ヴィクトリア Vikutoria  ("Victoria" (name)) ;  デジャヴ deja vu ("déjà vu" ) ;  ラスヴェガス Rasu Vegasu ("Las Vegas" ) TI TU Pronounced in English as "tee" and "too." ... Show more

Advanced Japanese Lesson:大黒柱

「我が家の大黒柱」 この言い回しには二つの意味があるのを知っていますか。 「柱」とは、土台などの上に垂直に立て、屋根を支える細長い木材・石材のことです。家を建てる際には何本かの柱を立て、それらが骨組みとなるのですが、その中で最も太くて立派な柱が「大黒柱」なのです。大黒柱は家の中央の柱であるため家の構造上、最も重要な役割を果たします。 もともとは「太極柱」と表記していたようで、「極」という漢字には「行きついた果て、最高の」という意味があります。つまり、「太極柱」とは「最高に太い柱」を指しているわけですね。それが、同じ発音の「大黒」に漢字が変わった理由として、七福神の一人「大黒天」に対する日本人の信仰が厚かったため、という説があります。 話を戻しましょう。 大黒柱のもう一つ意味、それは「ある集団の中心となり、それを支える働きをしている人」。具体的には、一般的な家庭の「父親」を指すのです。家屋の中心に据えられた立派な柱が、家族を支える父親のイメージとぴったり重なった結果、このような比喩的な使われ方が生まれたのですね。 ちなみに、神様を数えるときに「一人、二人…」ではなく「一柱(ひとはしら)、二柱(ふたはしら)…」と数えたり、お茶を注いだときに茶の茎が縦に浮かんでいる状態を「茶柱が立つ」と言って良いことが起こる前兆として喜んだりと、日本人にとって「柱」という語は現在でも身近なものなのです。 ===== Do you know that the expression “the pillar in our home” has two meanings?  A “pillar” is the vertically long wooden or stone... Show more

The Case of The Missing Syllables

Have you noticed that in words like shika ("deer" ) and hiku ("to pull" ), the "i" sound is almost inaudible?  This often happens also at the ends of the grammatical endings desu and masu, which are pronounced and , respectively. We call this devoicing "i" and "u". That means that they become almost "whispered." This happens when these vowels come between two of the voiceless consonants: p, t, k, s, or h. Also, you will notice that in Japanese, there are some sound syllable sounds that don't exist. For example: "si" doesn't exist, but is replaced by "shi". "ti" becomes "chi" and "tu  which becomes "tsu" "hu" doesn't exist, "fu" is used. However, the "fu" sound is a lot lighter than in English. (To make the sound, blow... Show more

Advanced Japanese Lesson:動詞 (Verbs)

「走る」「食べる」などの語は、動作を表わす語群に分類され「動詞」と呼ばれます。今日は、文法の教科書に載っていない動詞を紹介しましょう。 「事故る」「愚痴る」「皮肉る」などがそれです。 名詞に「る」をつけて動詞として使う用法は、若い世代を中心としてかなり以前から広がりを見せています。「事故に遭う」「愚痴(皮肉)を言う」という表現が正しいのですが、話しことばの中で「昨日、交差点で事故っちゃってさ」「新聞に首相の言動が皮肉られていた」などと使うのです。 さらに興味深いのは、外来語にも「る」をつけて動詞化して用いている例です。「コピる」(コピーを取る、真似する)「メモる」(メモを取る)「スタンバる」(スタンバイする)「ハモる」(ハーモニーを奏でる)「トラブる」(トラブルを起こす、トラブルに巻き込まれる)「ミスる」(ミスを犯す)「パニクる」(パニックに陥る)など、数えればきりがないほどたくさんの動詞が、日常生活に溶け込んで使われていますよ。大正・昭和期に生まれた「サボる」にいたっては、フランス語の「サボタージュ」を略してさらに「る」をつけた動詞ですが、辞書にも掲載され、一般的な動詞と区別なく使用されています。 「告白する」という意味の「コクる」、「挙動不審な様子をする」という意味の「キョドる」など、ことば遊びのような新しい動詞を次々と作り出すことができる、これも日本語の特色の一つと言えるでしょう。 =================== “To run,” “to eat” are classified as words that indicate movement, and are called “verbs.”  Today, I’ll... Show more

Advanced Japanese Lesson:緑か黒か

「烏の濡れ羽(ば)色」という表現を耳にしたことがありますか? これは、水に濡れた烏の羽根のように、つやつやした黒い色を指しています。そう、日本人女性の髪の形容なのです。 さらに、つやのある美しい髪のことを「緑の黒髪」とも言います。緑色なのに黒い…? どんな色の髪なのか想像できませんね。実は、この「緑」とは緑色ではなく、木や草の若葉を意味しているのです。一説には、「みどり」の語源は「芽出る」だと言われています。確かに、新芽はつやつやとした緑色をしていますよね。 ちなみに、同じ「みどり」が含まれることばには「みどりご」という表現がありますが、知っていますか?これも緑色をした子のことではなく、赤ちゃんを指しているのです。漢字も「緑子」ではなく「嬰児」と書きます。「嬰」という文字は「貝+貝+女」で構成され、貝を並べた首飾りをつけている女の子の姿を表わしています。また、「えんえん」となく赤ちゃんの泣き声を表わす擬声語として「エイ」という読み方になった、とする説もあります。生まれたばかりの子どもは草木の新芽のようにみずみずしく、生命力に溢れています。そのようなイメージから「みどり」という語が使われたのです。 話を戻して、「緑の黒髪」とは新緑のようにつややかな光沢のある黒い髪のことなのです。しかし、昨今のカラーリングブームで「緑の黒髪」と形容できる女性が少なくなってしまいました。 ==== Have you ever heard of the expression “the color of a crow’s wet wing” This indicates a shiny black color like when the crow’s feathers... Show more

Advanced Japanese Lesson:オニユリ

七月、オレンジ色の花びらに黒い斑点のあるユリが咲き始めます。ユリは可憐な姿をした花ですが、このオレンジ色のユリには「オニユリ」という恐ろしい名前がついているのです。 日本の昔話を知っている人や、節分について知識のある人は「オニ(鬼)」を知っていますね。鬼とは想像上の怪物で、頭には角が、口には牙が生えています。それ以外は人間によく似た姿として描かれますが、力が強く乱暴を働くので「悪役」を担わされることが多いです。 そんな鬼とこのユリにどんな接点があるというのでしょうか。実は、生物の名前につく「オニ」には「大きい」あるいは「同じ種類のものとは違った形をしている」という意味があるのです。大きいユリ、他のユリとは外観が異なるユリであるから「オニユリ」と命名されたわけですね。 想像上とはいえ、鬼は日本人にとって身近な存在です。その鬼の持つ「大きくて、人間と似てはいるが異なる外見である」というイメージを巧みに利用している点が興味深いですね。この名づけ方の仲間として、オニアザミ(花)、オニヤンマ(トンボ)、オニヒトデなどが挙げられます。 では、小さいことを表わす場合はどんなことばを用いるのでしょう。それは「ヒメ(姫)」や「ヒナ(雛)」です。 ヒメユリは五~六月に開花するオニユリと同じオレンジのユリですが、オニユリの持つ怖いイメージとは反対に、可愛らしい花が想像されます。名前の持つ力は大きいですね。 === A lily with orange petals and black spots starts blooming in July. The lily is a lovely looking flower, but this orange lily has... Show more

Advanced Japanese Lesson:ミソとキモとツボ(3)

「そこがミソだ」「そこがキモだ」という二つの文章は、調味料の味噌や肝臓だと解釈すると何を伝えたいのか分からなくなってしまいます。今回も、一風変わった意味で使われることばを紹介しますね。それは、「そこがツボだ」という文章です。 「ツボ」は「壺」という漢字で表わされ、口が細く胴の部分が丸くふくらんだ形の容器を指します。しかし、この入れ物をイメージして文章に臨んでもさっぱり意味が分かりません。 さて、あなたは「思うツボ」という言い回しを聞いたことがありますか。「子どもが泣くたびにお菓子を買い与えていては、その子の思うツボだ」このように使われる「思うツボ」は「予期した状態、たくらんだ通り」という意味ですね。 時代劇にしばしば登場する賭け事では、竹や籐(とう)で編んだ壺にサイコロを入れて振っています。壺からサイコロが転がり出たときの目はいくつになっているのか、それを当てるのがこの賭け事の面白いところなのですが、なんと経験を積んだ壺振り師は自由自在にサイコロの目を操ることができたとか。ここから、「思い通りになる、予想した状況になる」ということを「思うつぼだ」と表現するようになったのです。 では、「話のツボ」という言い回しを知っていますか。これは「話の要点」という意味です。「なぜ彼と結婚したの?」「笑いのツボが一緒だったからね」この会話に出てくる「笑いのツボ」も「面白いと思う点、ユーモアのセンス」という意味で、容器とはかけ離れた意味ですね。 ... Show more